J.S.バッハ インベンション 第3番

コンクール

こんにちは。
6月2日のカバレフスキーのソナチネの記事で、滋賀教室の木に鳥の巣ができて、毎日卵が増えていると書きましたが、その後卵は4つまで増え、なんと先日、4羽のヒナちゃんたちが生まれました。お風呂場の小窓から見えるのですが、母鳥がいない時は寒いのか4匹身を寄せ合っています。無事巣立つのを祈るばかりです。


 


・・・さて、これまでシンフォニアとインベンション1曲ずつ紹介してまいりましたが、インベンションの中でも3番は比較的初期に取り組む曲ではないでしょうか。
今回、インベンションを始めたばかりの小学生の生徒さんがコンクールに出ることになり、せっかくなのでこの曲を自由曲の1曲としてじっくり取りくみましょうとお勧めしました。

一見簡単そうですが、トリルが難しかったり、ヘミオラの理解、ちょうど良い軽やかさの3拍子のリズムに乗って弾く必要があるので、全く簡単とはいえません。

調性はニ長調で、とてもあたたかみがあり平和な雰囲気です。舞曲風ですから、上品さや優雅さも感じられます。
舞踏会を夢見る子供がダンスの練習をしているような可愛らしい情景が思い起こされます。(拙さはないので、もういつでも準備OKという感じですが。)

テーマは軽やかな3拍子に乗りつつ、音型に沿ってなめらかに弾く必要がありますが、程よい速さでクルクルと円を描くものをイメージすると良いのではないかと思います。
ただ、「弾みとなめらかさがあって円を描くもの」がなかなか浮かばず、色々考えた結果、新体操のリボンに行き着きました。なかなかぴったりではないでしょうか。
ちなみに、「弾みとなめらかさがあって円を描くもの」を探し求めて腕をぐるぐる回していたら、3歳の娘には魔法使いがステッキで魔法をかけているように見えたようです。それもなかなか良いですね☆


パソコンにも徐々に慣れてきたので、今回はインベンション初心者doremiを登場させて書いてみたいと思います。(突然の登場すみません)

インベンション初心者のdoremiです!よろしくお願いしまーす!


〈第1部〉1〜11小節

ウィーン原典版


1小節から2小節目 ソプラノにテーマが提示されます。音型に沿って強弱のニュアンスをつけます。強弱記号を書くとしたらmpからmfにしていくイメージです。アウフタクトの1音目レは親指で弾きますので硬くならないようにして、1小節目に向かうように弾きます。1小節目の1音目のファ♯は中指で弾きますが、中指も強い指ですので変なアクセントにならない程度の弾みを感じましょう。2小節目は1音目のラだけを意識するのではなく、次のソ(薬指)が引っ込みすぎないように。ガタガタではなくなめらかな円を描くように・・・新体操のリボンで円を2回クルクルと描く(2回目は1回目より大きめの円)ように感じると良いと思います。

3、4小節目 曲が開始したばかりですが、早速この曲の難所が現れます。
バスのテーマは、もちろん1、2小節目のニュアンスを移します。書いてある通り、薬指から始めた方がコントロールが効くでしょう。
ソプラノはなんて事のない音の並びに感じますが、トリルで優美さや可愛らしさが表現されています。トリルの入れ方は色々あると思いますが、私はブライトコプフ(ブゾーニ編)で弾いています。この2つを同時にすることは、インベンション初心者にはとっても大変です。バスがソプラノのトリルにつられて滑ったり、ガタガタになってしまうことが多いです。

開始早々、難しいです!どうしてもうまくいかない時はどんな練習をしたらいいですか?

まずはテンポを落としましょうか。

1. 冒頭のソプラノのテーマを弾き、受け継いで3.4小節めのバスのテーマだけを弾きます。これを何回も何回も弾いて流れを覚えます。(3.4小節めのソプラノは弾かないでください。)
その際、ニュアンスがちゃんと付けられているか確認しましょう。
また、肘を外に張らないよう気をつけます。
同じ速度で弾けているか自信がなければメトロノームを使用してください。

右手のトリルが下手だから弾けていないのではないかと思われるかもしれませんが、案外バスのテーマがしっかりと弾けていない可能性が高いです。

2. 左手のテーマの弾き方を掴んだかなと思ったら、ゆっくりのテンポのまま、バスのテーマをfで、トリルをpで弾きます。バスのテーマが崩れないように、あくまでもバスにトリルを合わせるつもりで弾きましょう。

うまくいけばそのままfpで何回も弾いて、バスとソプラノのタイミングに慣れましょう。トリルがムキになっちゃっていたなあなどど気づきがあるはずです。

やってみたけどまだガタつくなあ・・。何が悪いんだろう?

では、

3.どの音(指)に問題があるのか、弾いている間左手をしっかり見てみてください。伸びたり爪が天井を向いてしまっている指はありませんか?
黒鍵の後の音などは特に気をつけましょう。

4.右手のトリルに違和感のある方は指番号の見直しをした方が良いかもしれません。例えば4小節目の頭のトリルは「ド♯レド♯」と入れる場合、私はもう343が弾きやすいのでそれで弾いてしまいますが、ブゾーニ編では、243または353を勧めています。
「レド♯レド♯」と入れる方は4343の他に5353か3232を試すと良いでしょう。弾きやすい指番号を見つけましょう。

こんな番号もあるんですね、私の指ではもつれそうだなあ。

指番号の選択は大切だから、じっくり選んでね。

5〜8小節め 2小節ずつの繰り返しですので変化をつけたいところです。私は5,6小節目はfで明るく弾き、7,8小節目は弱く弾いています。その際、バスももちろん弱くしますが消えないように。3拍子を感じて気持ちよく弾ませましょう。


9〜11小節め テーマの1部がソプラノ、バス順番に現れて、属調であるイ長調へ終止します。9小節目はクレッシェンドし、10小節目はたっぷりとした音量で弾きます。
11小節目のトリルはムキにならないようにしましょう。11小節目頭は6連符で入れる方が多いと思いますが。タイの後の音(シ)が硬くなるとその後大変なので、できるだけ鍵盤に指を近づけておいて、柔らかく入るようにしましょう。
また、10.11小節目はヘミオラになっていますが、ブゾーニ編に書いてあるアクセントの音を少し際立たせるとヘミオラが感じられます。
※ヘミオラ・・・3拍子の曲で、連続する2小節をまとめて1小節とし、それを3つの拍に分け、倍の音価の3拍子にすること

 

〈第2部〉12〜23小節

12から


12〜16小節 元のテーマを含む新しい旋律(テーマ②とします)が登場します。冒頭のテーマではリボンを2回回しましたが、こちらは2小節で一つの円を描く感じです。テーマ②はイ長調、ホ短調、ロ短調の順に現れます。
13小節目ソプラノ、15小節目バスの4度上行の音型は明るく積極的な感じで弾きます。


17〜23小節め 17小節目のソプラノの4度上行は、ロ短調を感じて、前の2回に比べ控えめに暗めに弾き、次の小節の上行形でクレッシェンドします。18小節目からソプラノにテーマ②が現れた後、テーマの1部を使ったゼクエンツで下降してきます。19,20小節目のバスは音域も高くとても可愛らしい感じですね。ソプラノとかなり近くなりますし、親指と人差し指も使いますのでかなり繊細に歌い合いましょう。指が寝ないようにしましょう。21小節目ソプラノはゼクエンツの最後ですがバスは新しく旋律が始まります。21.22小節は少しクレッシェンドで膨らませてロ短調で終始します。
また、22.23小節は、第1部の終わりと同じようにヘミオラになっています。

 



〈第3部〉24〜42小節


24〜32小節め テーマ②がロ短調、ホ短調、イ長調、ニ長調の順に現れます。
そのテーマは全て付点四分音符の2小節分の長い音符に向かいます。この長い音にはトリルを入れる楽譜もありますが、私はあまり好きではないのでトリルをつけていません。単音で弾く場合は充分に響かせ、トリルを入れる場合は機械的にならないように気をつけましょう。柔らかめに入り、だんだん膨らませていくと良いかもしれません。
長い音の中から16部音符(テーマ②)が聞こえてくるように、16分休符やタイの後の音はぶつけないようにしましょう。


32〜42小節め 32小節めでソ♯でイ長調になり、テーマ②(変化あり)が現れ、間髪入れずに35小節めに冒頭のテーマの形がイ長調で現れます。35小節めのテーマの方は割ときっぱり明るく弾きましょう
36.37小節は再びヘミオラでイ長調で終止します。
終止で一瞬落ち着いいた後、38小節めはバスにテーマ②が出てきます。テーマですが少し音量を落とし、ソプラノも優しく入って、39小節目はpのまま、それ以降徐々にクレッシェンドして、43小節目のテーマに流れ込みます。 

 


〈第4部〉43〜53小節


43〜46小節め テーマの入り方は違いますが、冒頭4小節とほぼ同じです。冒頭よりも勢いがあり、堂々とした感じです。


47〜53小節め 8〜11小節(イ長調)に対応しています、こちらはニ長調のままで、ソプラノとバスの旋律が逆転しています。私は先ほどのように前半を強め、後半を弱めにしますが、1回目と変えて、4小節ずっと強く、ずっと弱く、弱くからクレッシェンドというやり方もあると思います。
51小節目のソプラノのテーマは1オクターブ高く、この曲の中では1番高い音域になります。華やかな音で弾きましょう。52,53小節は4回目のヘミオラになります。

 

〈コーダ〉54〜59小節
54〜59小節め 53小節目の後に「レー」とつなげて華やかに終わることもできますが、終わらず、「あえてもう一度言いますね」という部分です。しっかり主張しておきましょう。
ソプラノはあっという間に最低音の音域に降りてきて、直前の雰囲気とは変わって荘厳な雰囲気となります。2声がしっかり歌いあって堂々と終わります。自信を持って舞踏会デビューできそうです。そして最後にもヘミオラが・・・

終止のたびにヘミオラ?が出てきますが、わからせるために毎回アクセントをつけたほうが良いのかな?なんだかくどい気がしますが・・・

全部同じようにしてしまったら流石にくどいでしょうし、アクセントの度合いがきつければ押し付けがましい感じになりますね。また、ヘミオラを意識しすぎて、音型に沿った自然なニュアンスや音価の重み(長い音に重みがくる)、元の3拍子の拍感を無視するのもよくありません。

ヘミオラの狙いは、拍が幅広くなることで、終止のテンポ感が引き伸ばされているように感じさせることだと思います。ヘミオラによって終止を落ち着かせるんだというつもりで弾いてみてはいかがでしょうか。

 

お読みくださりありがとうございました☆
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