前回の記事で、譜読み力を上げるのに必要な能力、そして大切なのはたくさん弾くことだと書きました。よろしければあわせてご覧ください。
・・・それでは満足できないdoremiちゃん。
今回は、年代別・進度別に譜読み力アップにつながる練習方法を紹介します。
初心者編ではdoremiちゃんの妹で、最近習い始めたiroha(イロハ)ちゃん登場です。
初めまして。doremiお姉ちゃんには負けないぞ!
初心者からはじめる譜読みアップ術
なんとなくですが、未就学・小学校低学年の方、進度で言うとバーナム、バイエル、ブルグミュラーあたりの教本をしている方向きです。
ある程度音符が読めるようになってからの話になりますが、
頭が柔らかい時期だからこそ、この時期に楽譜を読む楽しさやコツを知れば、可能性が広がります。
引越しや、受験のために途中から教えることも多いですが、導入から携わる時は将来譜読みで困らないように導いてあげたいと思っています。
まずはとにかく与えられた宿題を毎回こなしましょう。
ピアノ歴が浅ければ、片手ずつ譜読みしてから合わせるというやり方でも大丈夫です。
バーナムの移調練習のススメ
初めてピアノを習う生徒さんにはバーナムミニブックから進めています。ミニブックのあとは導入、そして1巻、2巻と進めていきます。(オルガンピアノの本などを併用します。)
始めは書いてある通りに弾けたら次々進みます。
バーナム進んだね、この曲はドから始まってるけど、レから始めて全部1音ずつ上げてみようか。
はい! (全部1音上げて弾く)
なんか変な感じだなあ
あ、やっぱり感じた?
じゃぁファをシャープしてみよう!
はい!(ファをシャープにしてみる)
あ、いい感じになった!
ほんとだね!
今、ハ長調の曲をニ長調で弾けたんだよ。
初めは調のことをしっかり説明せず、上のようにニ長調で弾けるようにし、続けてト長調、へ長調で移調できるよう導いていきます。(進度は生徒さんによります)
生徒さんが、ニ長調、ト長調、へ長調の調号が頭に入ったなと思ったら、
指練習も兼ねて、ハ長調、ト長調、ニ長調の簡単な音階(ハ長調なら両手でドレミファソファミレドミソミド、くらい)とカデンツ(始めは1度と属七のみ)を練習させます。
これ、毎朝弾いてから幼稚園(小学校)行ってね!もちろん手の形も気をつけてね。
朝練したらシール貼るんだ
初めはたどたどしいですし、カデンツをつかむのがやっとです。とくに属七は難関です。
でも毎日弾いていたら、数週間でチャッチャカ弾けるようになりますよ。
慣れてきたら、白鍵から始まる簡単な長音階を全て弾けるように練習します。(ハ、ニ、ホ、ヘ、ト、イ、ロ長調)
なんの音がシャープになるのか、毎日弾いていると自然に覚えていけますよ。
単純作業なので、慣れたらチャッチャカ弾きましょう。
チャッチャカ弾いてきてくれたら、ドレミファソファミレを3回振り返してからドミソミドにさせたりします。とにかく覚えるように体に馴染ませます。
和音を弾くのに慣れてきたら、カデンツは1度と属7だけでなく、4度や5度の和音も取り入れていきます。
さらに進めそうな子は、短調、黒鍵からの調もチャレンジ!
いろんな調があるのだとわかったところで、
ではこの曲もニ長調に移調して弾いてみましょう!ニ長調の調号はなんだっけ?わからなかったら音階弾いてみてね
(音階とカデンツを弾く)
ファとドにシャープ!結構指が動いていくかも
バーナムだけじゃなくて、バイエルでも移調やってみよう!
移調する時は隣同士の音の高低差(音程)を自然に読んでいます。
1音以上の音をラインで読む練習になります。また、初期の段階で調の基本的な和音を把握することで、和音の手の形を覚えたり、調性感を身につけることができます。
バイエルやブルグミュラーで簡単な分析を
最近は素晴らしい教本が沢山あるため、全てはしませんがバイエルを一部分は使っています。(他にヤマハの練習曲集、ピアノのabc、ラジリテなども使います)
バイエルなどの初期の練習曲にはABやABAなどの典型的な2部形式、3部形式の曲が多いです。
初心者の生徒さんは宿題の曲をレッスンの中で一緒に譜読みするのですが、同じモチーフを探したり、違うところを確認します。
ここと同じメロディーはどこでしょう?
あ、この1段とこの1段は同じ!
わあ、ホントだ!じゃあこっちの4小節は練習しなくても弾けるね!
得したね☆
始めと同じメロディーを持ってくることで曲にまとまりが出ているね。
同じパッセージ、似た音型を探すのは譜読みを効率的に行うのに良いですね。
慣れてくると「こことここが同じだ!」と言われなくても自分で探している子も。
アルファベットがわからない子は「あいう」や数字で表現しています。
バイエルが慣れてきたら、片手ずつ譜読みではなく、左手だけ弾いてからいきなり両手→初めから両手で弾くように促していきます。
小さい頃からできるソルフェージュ
譜読みをするには、音とリズムがわからなければ始まりません。
音の読み方がわかったら、リズム打ちです。レッスンのたびに簡単なリズム打ちをして、簡単なリズムパターンは頭に入れていけるようにしましょう。
学研の子供のバイエル(田丸信明 編)を使うことが多いのですが、節目節目でリズム打ちのコーナーがあり、便利です。
ソルフェージュって何?と思われた方はこの記事をお読みください☆
宿題には出てないけど、次の曲も練習してきたよ!
もしかして譜読みの力が付いてきたかな☆☆☆
中級者の譜読みアップ術
こちらの年代はなんとなくですが小学校中、高学年あたりの方、進度でいうとソナチネ、ソナタ、ツェルニー、バッハインベンション(シンフォニア)くらいを想定しています。
ツェルニーを頑張ろう
もちろんどの曲もがんばりますが、譜読みの観点からだと、
ツェルニーなどの練習曲を1週間で1曲仕上げる勢いでよく練習しましょう。
初級者編で書いたように、同じメロディーや音型を探し効率よく練習したり、どんな構成でできているのかを確認しましょう。
分散和音の伴奏や音階、アルペジオ、に慣れるのがとても大切です。古典派のソナチネやソナタの譜読みも断然しやすくなります。
テクニックも身につき、一石二鳥ですね。
前回の記事にも書きましたが演奏技術がないと譜読みも苦労します。
いろんな曲に興味を持つ
例えば、ソナチネやソナタはレッスンですべて全楽章やるわけではないと思います。
ぜひ本番では弾かない楽章も譜読みして音にしてみましょう。譜読みのトレーニングだけでなく、そうすることで、曲全体の新たな魅力に気がつくことができます。
コンクールや発表会で誰かが弾いてた曲「いいわ〜弾きたいわ〜!」と思ったら楽譜を買って弾いて見ましょう。興味が冷めないうちに音にしてみましょう。
曲集の復習
終わった曲集をもう一度初めから最後まで弾き通すのも良いですね。
ソナチネに入る前にブルグミュラーを弾き直したり、インベンション15曲マルになったらもう一度1番から順に弾いてみる、など。私もインベンションとシンフォニアは、2周やりました。
初心者の時より踏み込んで理解するために
初心者には簡単な音階とカデンツでしたが、そろそろハノンのスケールやアルペジオを始める頃ですね。
初心者の時は上に書いた反復練習で調号やカデンツを頭に刷り込みましたが、シャープやフラットの付く順番、調号と調の関係、和音の種類など楽典のルールを知っていきましょう。幼い頃に培った感覚に理論が加われば、より深い学びになり、無敵となるでしょう。
例えば曲が転調した時に、感覚だけでなく鍵となる音がわかったり、調同士の関係を理解していると譜読みしやすいだけでなく、演奏にも表れてきます。
譜読みが速いからって良いわけではない
ああ、遅くてもいいのね!というわけではありません。
私が習ってきた先生方は、楽譜に書いてあることを一言一句逃さずしっかり読む(時には楽譜に書いていないことも読み取る)ことを大切にされる方ばかりです。
ある程度の譜読みの速さは必要ですが、感覚に頼って楽譜に書いてあることを見落とさないようにする姿勢が大切です。
少しくらい遅くとも、しっかりと楽譜が読めているならば、その人のペースなのかもしれませんね。
誰もが小さい頃から音楽を志すわけではないので、音高生や音大生でも譜読みが苦手な人はいます。逆に信じられないくらい速い人も。
上級者の譜読み編は、またの機会に書きたいと思います。
お読みいただきありがとうございました。
よろしければホームページもご覧ください♫