J.S. バッハ シンンフォニア No.15

曲目別演奏のヒント

こんにちは。お元気でしょうか。

前回の記事ではオンラインレッスンの話を書きましたが、スカイプではなく、LINEで動画を送ってくれた生徒さんがいらっしゃいました。
カメラはかなり手元寄りでしたが、元気そうなお顔がちらりと見えて嬉しかったですね。
せっかく文字でアドバイスしたのでこちらにも残しておこうと思います。
今回はシンフォニア15番を取り上げます。

過去にはシンフォニア14番や12番を取り上げました。

よろしければ合わせてご覧ください。

生徒はこの方

こんにちは。たびたび登場のsoraです。 
シンフォニアといえばボク。

      

シンフォニア15番演奏のヒント

       

さっそくだけどsoraくん、この曲どんなイメージかなあ?

うーん。
暗くて、時々心がザワザワする。。。
まだうす暗い草原を、馬が駆けているっていうのはどうですか?

わあ、面白いですね。確かに馬が駆けている感じしますね!

soraくんの心をザワつかせているのは32分音符かな。(笑)
確かに印象的なパッセージですね。感じ方は人それぞれだけど、拍がしっかりしているし、分散和音になっているので、ある意味安定感があるかもしれないね。テクニックは安定させつつ、聞き手にちょっとザワっと感じてもらえるといいね。

私もsoraくんと同じく躍動感を感じます。同時に、何か整ったものや生真面目さ、そして優雅さも感じます。
すごく手入れの行き届いた庭みたいな。京都のお寺の石庭みたいな。ちょっと飛躍しすぎかな。(笑)

大きく分けて3つの要素のみから成り立っているので、しつこさ(あまり良い言い方ではないかな)とかこだわりの強さを感じる人もいるかもしれませんね。

   

〈第1部 1〜13小節〉

1〜3小節め ソプラノに出てくるテーマのアーティキュレーションは譜例が一般的だと思います。1音目にアクセント、2音目と3音目(嬰へ連打)は軽やかに弾きます。3小節目の32分音符はテーマの結尾に当たりますが、この先、この部分だけが取り出され展開されることも多く、この曲の印象的なパッセージだと思います。キラキラとした音で、音型に沿って強弱をつけましょう。
バスは1音め(ロ)が短くならないように注意しましょう。続く対位主題はレガートで、テーマと程よく響きあうバランスで弾きます。
全体的にあまり重たくしたくないので、私はmPくらいで弾きます。遠くの方からパカラッパカラッと馬が駆けてくる感じでしょうか。

4〜6小節め テーマと対旋律が逆転し、バスにテーマが現れます。冒頭のソプラノと同じニュアンスが出せるようにコントロールしましょう。音量は冒頭よりしっかり目に弾きましょうか。
6小節めは、ソプラノとバスをぴったりと合わせましょう。バランスは少しソプラノの方が強いと良いかなと思います。3小節めと同じくキラキラと弾きます。ちなみにブゾーニ版にはnon troppo legato という指示があります。カリッと軽やかに弾きましょう。音の粒をそろえたいので、リズム練習やアクセントを取り入れた練習をたくさんしましょう。

7〜10小節め ここでようやく3声が揃います。ソプラノとアルトは保続音とテーマの音型で会話しています。
バスは対位主題の1部を使い、5度ずつ下降していきます。だんだん音色が太くなっていくのを感じます。

11〜13小節め テーマの結尾の1部分を使い展開させています。ここも音の粒が揃い、縦の線がぴったり合うようにしましょう。両手で畳み掛け、音域が広がっているので、華やかな印象です。最後はdim.で続くニ長調の温かい雰囲気へ向かいます。

11小節から13小節の強弱なんですが、Pからクレッシェンドというのもありかな?

もちろん良いと思うよ。そうするなら、第2部はそのままfで弾くか、subito Pにするのも面白そうですね。前後の流れを考えてみてね。

       

〈第2部 14小節目〜最後〉

14〜16小節め 平行調のニ長調になりました。冒頭では厳しさや冷たさを感じる方も多いと思うのですが、ここでは音域も低く、温かさ穏やかさを感じます。音色もそのような感じになるといいなと思います。16小節目は6音目がh(ロ)に変化し、和音が変化し、表情に幅が出ます。丁寧に歌いましょう。


15〜17小節め 次はイ長調になり、テーマはソプラノへ移ります。穏やかから、明るい音色を感じましょう。16小節目も6音目がdis(嬰二)となりホ短調への転調を感じさせます。

20〜25小節め 7〜13小節目と対応する箇所ですが、こちらの方が引き伸ばされ、音域的にも調性的にも漂う感じがあります。23小節めからバスの対位主題が反行形となり、その辺りからロ短調に戻るんだという意思が感じられます。

26〜28小節め 構成上では「間奏」という扱いですが、上向きの力が強い、勢いのある部分です。p からクレッシェンドしても良いと思いますが、私は24,25小節目で膨らませておいて、しっかりと強く入りたいと思います。弾きにくい交差がありますが、交差によって音がかすれたりしないように弾かなければなりません。ここはブゾーニ版がおすすめです。27小節目の1音目(ソプラノのcis、アルトのa)は右手で取り、28小節目のdは左手のみ弾き、右手は休符にします。

ここが弾きにくいんだ

両手が邪魔し合わないことが大切だよ。
右手は潔くレを省いて休符にしよう。
交差の時下になる左手は、27小節の終わりで肘をお腹の前に寄せて、手全体を鍵盤の近くに(手首も下げめで)。
右手は肘を少し前に出し、腕は高めで弾きましょう。

29〜32小節め 拍感を感じつつ、クレッシェンドしてきた熱量を保つ。31小節目終わり〜32小節目はテンポもブレーキをかけます。

33小節め〜最後 33小節目は前の小節でゆっくりした分、少しゆったりめから入り流れ出す感じで。次の小節の付点四分音符に向かってクレッシェンド、その流れを引き継いで34小節めのバスの16分音符は35小節めに向かってクレッシェンドしていきましょう。35小節目はしっかりとした重さのあるテーマで、36小節めの全声部の16分音符は1つずつテヌートをつけるような感じでespressivo で弾きます。最後は少し落ち着かせます。

               

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